今回紹介する『もう3年、産後うつ。 消えたい衝動から抜け出せない』は、子供を諦めた矢先に妊娠して産後うつになってしまった女性の物語です。
長い不妊治療の末、子供は諦め仕事に邁進するちはる。しかしその矢先に、できないと思っていた子供を妊娠します。
うれしい気持ちのなかでちはるは、大きな仕事を任されたばかりだったこともあり、タイミングが悪いと感じてしまったのです。
そんな気持ちに見て見ぬふりをしながら、ついに出産。しかしその先に待ち受けていたのは・・・。
漫画【もう3年、産後うつ。 消えたい衝動から抜け出せない】について
- 作家:青柳ちか
- ジャンル:女性漫画
- 出版社:KADOKAWA
- レーベル:LScomic
青柳ちか先生による「産後うつ」をテーマにした物語です。
不妊治療を辞め、仕事に打ち込むことを決心したちはる。大きな仕事もまかされこれからという時に妊娠が発覚します。
うれしいという気持ちと何故今という気持ちが交錯し、困惑してしまったちはる。
プロジェクトからも外され、なんとか出産しますが、ちはるは娘を心から可愛いと思えない自分に恐怖していたのです。ちはるは一体どうしてしまったのでしょうか。
【もう3年、産後うつ。 消えたい衝動から抜け出せない】第6話までのあらすじと主要登場人物の紹介
登場人物 | |
岩田ちはる | 5年という期間を不妊治療に費やしてきて、子供を諦める決心をします。バリバリのキャリアウーマンで大手の会社で大きなプロジェクトを任されるほどの手腕です。 そんな折、妊娠が発覚し仕事も中途半端になってしまいます。その後娘を傷つけてしまうのではないかという恐怖心がちはるを支配するように。産後うつであることを告げられてしまいます。 |
岩田ひろき | ちはるの夫。不妊治療の末子供を授かれず諦めたちはるに対して少し未練があるようでした。ちはるが妊娠したことをすごく喜んでいます。 雪華を産んでからは、積極的にちはるの手伝いをしたりヘルパーを頼んだりと色々と彼女を支えています。 |
岩田雪華 | ちはるとひろきの間に生まれた娘。 夜泣きがひどく、度々ふたりを困らせています。 |
妊娠発覚
長い不妊治療を得てちはるは子供を諦め仕事を頑張ることに決めます。大きなプロジェクトのリーダーも任され、やる気に満ち溢れていました。
そんな時、ちはるは最近体調不良が続き、まさかと思い検査してみるとなんと妊娠していたのです。そのことを夫のひろきに話すと喜んでくれます。
ちはるももちろんうれしいと感じていましたが、一瞬頭をよぎったのはタイミングが悪いという思いでした。
仕事を任せられたばかりなのに、と感じてしまったことに気づかないふりをしたのです。
重い悪阻に耐えながらもなんとか会社に行き、産前産後で4か月ほど休みをもらう旨を上司に話しました。
配慮すると言ってくれましたが、結局その後ちはるはプロジェクトのリーダーを後輩に譲る形になってしまったのです。
苦悩の始まり
24時間の陣痛を得て、緊急帝王切開の上ちはるは娘を出産しました。しかしその後高熱を出し、引き裂かれるようなお腹の痛みに苦しみます。
熱が下がりよくなったかと思ったらすぐに娘・雪華への授乳が始まりました。このまま寝ていたいのに、容赦なく子供の世話がやってきます。
ちはるはわが子を可愛いと思えるのかとても不安で恐怖でした。子供を産むと決めたのは自分自身。だからしっかりしなくちゃと、そう思っていました。
家に帰ってからも雪華の夜泣きで起こされます。なにをしても泣き止まない雪華に頭を抱えてしまったのです。
恐怖に苛まれて
ある日、母が孫の顔を見に来たとやってきます。そこで母からの何気ない一言にいら立ち、ちはるは母を怒鳴ってしまったのです。
1か月検診にいくと医師から栄養が足りていないと言われ絶望。
病院の産後うつという張り紙に「もしかして自分はそうかもしれない」と思いますが、自分の覚悟が足りていないせいだと思いなおしたのです。
なにもしたくない日々が続き夜も眠れない中、雪華に授乳をしている際にちはるは、もしかしたら投げ出したくなるのでは…と思ってしまい…。
【もう3年、産後うつ。 消えたい衝動から抜け出せない】を読んだ感想(ネタバレ注意)
女性の悩み
子供かキャリアかという、ふたつの選択肢に悩まされる女性は多いですよね。
ちはるの場合、不妊治療の末、結局子供を授かれず、あきらめてキャリアに集中したというときのタイミングで子供を授かってしまいました。
大きなプロジェクトを任されていたちはるにとって、それはタイミングの悪い妊娠です。
でも妊娠した喜びより、そんなことを考えてしまうことにショックを受けてしまっていました。
でもどうしても女性ってそういうことで葛藤してしまうものですよね。子供のことを一番に考えないから悪いというのは違うと思います。
特に不妊治療を辞めて仕事を選んだ直後だからこそ余計です。
そして妊娠をしてしまったらキャリアを諦めなければならないという社会が良くなればいいと思います。
葛藤
24時間の陣痛に耐えて帝王切開で生まれた我が子。その後発熱で苦しんでいる中でも、我が子の世話という仕事が発生します。
責任感の強いちはるはそんな中でもしっかりしなくちゃと自分を奮い立たせるのです。
産後うつは誰にでもなる可能性がある病気ですよね。
特にちはるは責任感が強くて、さらにあまり周りに頼ろうとしないということもあって余計なってしまったのかもしれません。
唯一の救いは、ひろきがちはるに寄り添おうとしてくれているところです。
これでひろきまで子育てをちはるに押し付けるような人だったらもっと最悪な事態になっていたでしょう。
それだけ子供を育てるというのは大変なことだということが読んでいて伝わってきました。
考察【もう3年、産後うつ。 消えたい衝動から抜け出せない】の最終回・結末について
うつ病というのは、薬を飲んだらすぐ直るという病気ではありません。なので長い時間をかけてうつ病と向き合っていくのではないでしょうか。
雪華をかわいいと思えるのかという不安に苛まれていましたが、ちはるは雪華に愛情が全くないわけではありません。
色んなことが重なって、今は雪華を心から可愛がれないとしてもきっと少しずつ我が子を心の底から可愛いと言える日がくると思います。
そこにはきっと周りの人たちの助けもあって、立ち直っていくのでしょう。
ちはるは仕事のことにもきちんと折り合いをつけて三人で幸せになっていくと思います。
まとめ
仕事に精を出していた矢先に妊娠が発覚したちはる。戸惑うちはるですが産むことを決意します。
仕事も子育てもうまくやって見せると思っていたちはるに待っていたのは甘くない現実でした。
幸せなはずの日々が地獄のような日々に代わっていきます。ちはるは産後うつを乗り越えることができるのでしょうか。
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